戦国遊戯
まずは、自分がこっちの世界で最初にいた場所へ行ってみようと、山のほうへと向かった。

数十分くらい歩いたところで、おばあちゃんが、重そうな荷物を持って歩いている姿が見えてきた。


・・・いやだ。これ。試されてんのかしら。


そのまますっと、横を通り過ぎた。

いや、通り過ぎようと思った。


ほんの数秒だが、悩んだ挙句、声をかけた。

「おばあちゃん。いい天気ですね」

「そうじゃねぇ」

「あの・・・荷物、重くないですか?よかったら、私もこっちの方に用があるし、少し持ちましょうか?」

「あら、助かるわぁ。もう、この歳になると、重たいものをもつのもつらくてねぇ」

「・・・ですよねー」

やっぱり。と思って、おばあちゃんが手に持っていた、桶のようなものを受け取る。


――――う。重い。


想像以上に重たい。この匂いは・・・


「本当にすまないねぇ。ちょうど、お味噌がのうなったもんで、野菜を売りに行ったついでに、こおてきたんよ」

「お味噌、重いですもんね。持ってるのつらかったんじゃないですか?」

あはは、と乾いた笑いを浮かべた。

「そうなんよ。でも、あんたが持ってくれて、だいぶ楽になったで」

にこにこと笑うおばあちゃん。
う~ん・・・これは・・・仕方がないと思うしかないか。
いいえぇ、とだけ言って、おばあちゃんと一緒に歩き出した。
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