戦国遊戯
おばあちゃんが、お味噌を持ってくれたお礼に、お昼を一緒にどうだと、誘ってくれた。結構な距離を歩いたので、確かにおなかはぺこぺこだった。ありがたく、その申し出を受けた。

料理を手伝おうと思ったが、おばあちゃんに、もてなしを受けるんだから、ゆっくりしておいで、と言われてしまったため、部屋で、慶次と2人で、おばあちゃんの料理が完成するのを待った。


それにしても、体格は、私の知ってる前田慶次とは大きくかけ離れてるけど、格好は、今の時代にしては、珍しい格好よねぇ・・・

派手な少し紅色に近い、薄いピンクの女物の着物を羽織っていて、その中の着物は色鮮やかな、白地に黄色や緑、青といった刺繍のしつらえてある服を着ていた。襟首のところには、ファーまでついてる。


・・・これって、今の時代、普通、じゃ、ないよね?


ジーっと格好を見ていると、慶次が話しかけてきた。

「どうした。俺に何かついてるかい?」

聞かれて、はっと我に返り、首を横にふった。

「いえ。あの。珍しい格好だなぁって思って」

「はは、お前さんに比べれば、普通だと思うがね」

言われて、確かに、と納得してしまった。

「いや、そうじゃなくて。私のことはおいといて、この時代・・・というか、このへん?では、そういう格好って、珍しいんじゃないかなって、思ったんですけど」

聞いてみると、慶次は二カッと笑ってきた。

「そうだな。珍しいと思うぜ?なにせ、俺はカブキ者だからな」

「カブキ者」

「あぁ。周りはみな、そう言ってる。俺はただ、自分のしたいこと、好きなことを、したいときに、したいように、好きなようにしてるだけなんだがな」

そう言って、慶次は笑った。
そして、そんな慶次が、少し、うらやましかった。
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