戦国遊戯
とりあえず、私が知っている、『川中島の戦い』はまだのようだった。これから起こり、帰るためのキークエストがあるとすれば、この辺りだろう。そう、思った。

「そろそろ暗くなる。降りねぇと、ほんとに野犬がでてくるぜ?」

慶次は木々の隙間からみえる、空を見上げて言った。私は小さく頷いた。


急いで山を降りたが、暗くなるのはすぐだった。困ったことに、辺りが真っ暗になったせいで、木につけた目印が見えなくなっていた。

「しまった、どーしよ。道がわかんない…」

少し途方に暮れる。

「うーん。歩いてきた距離を考えると、この中を歩いて降りるのは危険かも知れねぇなぁ」

慶次は頭をかきながら言った。確かに、視界がかなり悪いこの状況で、下手に歩きまわるのは、危険極まりない。

「どうしよう…野宿しかないかなぁ…でも、野犬がでたらどうしよう…」

頭を抱えた。とりあえず、なんにしても、まずは火をおこさないと、ということで、近くの落ち葉や枝を拾ってきた。

「さて、火をおこすか」

慶次はそう言って、腰に下げていた袋から、石を2つ取り出し、カチカチっとすり合わせ、火花をおこしていた。
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