戦国遊戯
火打ち石ってやつかしら。初めてみた。


しばらくすると、飛び散っていた火花が、枯れ葉に移り、火がおきた。

「おー!すごーい!」

感心して、パチパチと手を叩いた。

「このくらいは誰でもできるぜ?」

慶次は笑いながら答えた。

火を囲んで、慶次からいろいろな話をきいた。町であった面白いはなしや、怖い怪談話まで。いろんなことを聞いた。

遠くで、犬の鳴く声が聞こえた気がした。思わず振り返った。


怖い。


少し顔が強ばった。それに気づいたのか、慶次が隣に座ってきた。

「大丈夫、そうそう、野犬に遭遇するこたぁねぇよ」

そう言われて、少し安心した。

でもたぶん、それだけじゃない。

慶次がそばにいるということに、ひどく安心感を覚えた。


「あ!」

「どうした、急に」

「ここにきてること、今泊めてもらってる家の人に言ってない…」

その辺を散歩と、家を出たのだ。もしかしたら、心配しているかもしれない。

「そいつはぁまずいな」

「…よね」

慶次に言われて、また、頭をかかえた。
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