戦国遊戯
「慶次さん、こちら、幸村さん。さっき言ってた、今お世話になってるところのご主人」

「へぇ・・・なるほどねぇ。会えてよかったじゃねぇか」

慶次が頭をぽんぽんと撫でてきた。

「慶次殿、玲子のこと、ありがとうございました」

「いや、俺はなにも。ただ、面白そうだと思ったから一緒についてきただけだ」

「しかし」

「なぁに、気にするな」

慶次はけらけらと笑った。

「もう夜も更けた。これ以上遅くなる前に、早く帰るこった」

そう言うと、慶次はくるりと背を向けた。

「ねぇ、また会えるかな?」

慶次は面白い。それに、行き詰ったとき、ヒントをくれた。少しでも、こっちの世界で、頼れる人が。1人でも多く欲しかった。

「あぁ、いつかまた。もしかすればな」

そう言って、慶次はひらひらと手を振り、そのまま山の奥へと消えていった。そんな慶次の後姿に、私は、深く、頭を下げた。


幸村の後ろに乗って、しっかりとしがみついた。幸村は、来た道をまた、馬を走らせ、家路へとついた。
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