戦国遊戯
自分のパソコンに現れた、変なメッセージを伝えようと、携帯を手に取り、希美に電話する。
もしすでに、希美がログインしてしまっていたら、自分もログインするしか方法がなくなってしまう。
そんな玲子の思いをあっさりと裏切り、携帯はむなしく数回のコール音を鳴らした後、留守電のメッセージが流れた。何度かかけなおしてみたが、結果は同じで、希美は電話に出なかった。


…だめだ、もうログインしちゃってる。どうしよ…


怪奇現象を信じているわけじゃない。信じているのは、自分の目と耳だ。だが、その信じている、自分の目が、いつもとは違う、別のものを映した。そんなことはないと、頭で否定しても、その画面が、鮮明に現れる。

「…ヘタレな私を許して。明日、希美に怒られよう」

とりあえず、気分転換にお風呂に入ろうと、バスタオルと着替えを持って、お風呂場へと向かった。
お風呂から出て、玲子は頭をタオルで拭きながら、携帯をもう一度確認してみる。すると、ちょうどそのとき、希美からの電話があった。

『もしもしれいちゃん!?なんでこなかったのー!?』

希美に言われて、ごめんね、と謝った後、例の画面の話をした。

『なにそれ。私の方は、そんな画面でてなかったよ?』

「え?ほんとに?バグかなんかかなぁ…」

『もしかして、それが失踪に関係あったりして』

希美に言われて、少し動揺する。

「ま、まさか……」

言いながら、パソコンの方を見る。

『ま、なんにせよ。これからログインしたら遅くなるし、また明日試してみよう!』

希美はじゃぁね、と言って、電話を切った。
玲子は携帯をパクンと閉じると、また、画面の方をじっと見つめた。
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