戦国遊戯
***** 幸村's View *****

玲子に話を聞いて、頭が真っ白になった。正直、どういうことなのか、わからなかった。

あいつは、未来から来た人間で、この時代の人間じゃない、と。


あいつの持ってた不思議な楽器は、未来の連絡手段だという。確かに、あれは、本当に不思議な楽器だった。
それに、この世界が、あいつのもともとの世界とまったく違うものなのであれば、この世界に来て、夢だと思ったことにも納得がいく。

だから、あんなことを言ったんだってことも。



でも、本当にそんなことはありえるのか?

――――――わからない。



玲子は、少し困ったような表情で、部屋の中へと戻っていった。

俺は、どうすればいい?


どうすれば―――――・・・・。


「若!」

佐助に呼ばれてはっとした。

「な、なんだ。どうした?」

「なんだじゃないですよ。あの女の言ってること、信じるんですか!?」

「いや、しかし。確かに辻褄が・・・」

「思いっきり怪しいじゃないですか!」

佐助に言われて言葉に詰まる。あんなことを言われて、確かに、"はい、そうですか"と信じろというほうが無理がある。

「しっかりしてくださいよ・・・総大将には、俺から伝えましょうか?」

「いや・・・」

佐助に任せようかとも思ったが、このことを信玄に伝えるのは、まだ早いかも知れない。

「もう少しだけ、様子をみる」
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