戦国遊戯
「はぁ…はぁ…っはぁっはっ…」

とにかく走っていった。ひたすら。
道がふたまたに分かれているところにでた。


…どっちだったっけ…確か…右?


悩んで、右に進もうとした瞬間だった。


がぅん!!


大きな音とともに、右腕に、痛みが走った。

「ったぁ!」

右腕から血が流れてきた。あの音は銃声。とすれば、狙撃された!?
あたりを見回してみると、少し遠くに銃を持った人影が見えた。

「この時代って、そういえば銃があったっけ」

やばい!と思い、急いで物陰へと走った。
腕から血は出ているが、玉はかすっただけのようだ。ただ、傷口が熱い。

「あぁ、もう!このあとどうしたらいいんだろ」

今までやってきた喧嘩とはわけが違う。選択を誤れば、死んでしまう。背筋がぞっとした。


「長尾様!」


兵の1人が叫ぶ声が聞こえた。
馬に乗ってやってきた、1人の男性の姿があった。

「火縄の音が聞こえたが。どうした、何かあったか」

「はい、先ほど、不審人物が走ってきていたように見えてたのですが。1発撃ち込んだ後、姿を見失ってしまいまして」

「なに。武田の兵か?」

「それが…奇妙な形ををしておりまして、兵士には見えなかったのです」

「ふむ…引き続き、見張りを頼む」

「はっ」


馬を元きた方へと方向転換させた。銃を持った兵は頭を下げている。他には兵士の姿は見当たらない。


――――――――チャンス!
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