戦国遊戯
どうするか頭で考える前に、体が動いた。直感が告げる。行くなら、今だと。

ダッと銃を持った兵士のところへかけて行く。足音に気づいて兵士がこっちを向く。

「貴様!」

「はぁっ!」

地面を蹴り上げ、泥が兵にかかる。

「うぉ!」

目に入ったのか、バランスを崩し、銃を下に向けた。すかさず地面を蹴って、兵の顔を横から蹴り飛ばした。体が、長尾の乗っていた馬のお尻にぶつかって、崩れ落ちた。馬がびっくりして、後ろ足だけで立ち上がる。突然の行動に、長尾は馬から振り落とされた。

「うわぁ!」

そのまま地面に落ちた長尾を、うつぶせにして押さえつけた。鞘から抜き取り、顔の横の地面に、ぐさっと刃物を顔の方へ向けて突き刺す。

「動かないで!」

「き、貴様…何者だ!?」

ふぅ、と息を吸った。

「ごめんなさい、怪我はないですか?」

「は?」

「あ、いえ。何でもないです。申し訳ないんですけど、少しの間、眠っててくれません?」

そう言って、首の付け根の所を、鞘でがん!っと打ち付けた。少し、申し訳ないな、と思いつつ、体を起こして、そばにあった木に体を縛りつけた。

「お前、私のこと、乗せてくれる?」

長尾が乗っていた馬の鬣を撫でる。馬はぶるるるっと鳴いて、首を上下にふった。

「…ありがと。悪いけど、よろしくね」


そう言って、馬に乗り、その場を駆け去っていった。
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