【短編集】現代版おとぎ話
「ほら。」
「え?えーっと・・・“天才”?」
ピンポンポロローン グイッ
「ほら。どんどん連続して言いなよ。」
そうは言ったって音と同時に襟ねじるのやめてよ!!
でも、言えるはずもなくて。
「“美人”」
ピンポンポロローン グイッ
「“運動神経抜群”」
ピンポンポロローン グイッ
「“思いやりがある”」
ピンポンポロローン グイッ
「・・・」
「ほら、次は?」
そうは言ったって次言ったら完全に死ぬって!!
もうほぼ呼吸困難だって!!
えっと、鳴らないものを言えば良いんだよね?
「・・・“僕のことが嫌い”!!」
ピンポンポロローン
「・・・へ?」
鳴った?鳴ったって?
どういうこと?
思わず彼女を見れば目を見開いて固まっていて。
だけど、音は鳴ったのに首は絞められなくて。
少し沈黙してから、彼女は僕の襟から手を離し、頭から装置をはずした。
「―――どうやら本当発見器作っちゃったみたいね。」
「えぇぇぇ!?」
そういうごまかしするの!!?
でも、「何?文句ある?」と睨まれたら何も言えない。
伸びきった僕の襟はちょっと残念だけど、真っ赤になった横顔に、僕は彼女の新しい一面を垣間見た。