【短編集】現代版おとぎ話
「お前、ホント鈍くさいのな。」
「え?」
「失敗した手紙、ゴミ箱に入れておくなよ。」
「・・・あ。」
ゴミ捨てをしてくれる先生が気づかないわけがない。
カァッと顔が熱くなった。
それじゃぁ、先生は知っていたの?私の、気持ちを。
「隠さなくていいっつの。 正面切って言えよ。」
「だって、私絶対失敗するもん・・・っ。」
いいから。
そう言って、先生は私に顔を近づけた。
至近距離の綺麗な瞳に吸い込まれるように、私の口はゆっくりと自然に動き出す。
「いつも、ありがとうございます・・・。」
「うん。」
「いつも、ごめんなさい・・・。」
「うん。」
「私、ずっと・・・先生のことが、好き・・・でぃっ!!」
し、舌噛んだぁっ!!
あまりの痛さに涙目になると、先生はプッと吹き出した。
「期待裏切らねぇヤツ。」
「ご、ごめんなひゃ・・・。」
「いーよ。俺も好きだし。」
「ふぇ?」
言われた一言に顔を上げた。
好き? 俺? “も”?
それって。
ゆっくり理解すれば、顔が一気に紅くなったのがわかった。
「反応遅。」とまた先生は笑う。