【短編集】現代版おとぎ話
眠れる森の美女
「あーっ、もうっ!!!」
イライラした調子で俺は校舎内を駆け回っていた。
いつもの調子で彼女の教室に、彼女を迎えにいった俺。
そうしたら、いつもいる机の上に一枚の紙。
『私を捜してみましょう! 最初は職員室☆』
なんてあるから職員室に行く。
業務用のホワイトボードに堂々と『音楽室』
音楽室に行けば、『野球部部室』
部室に行けば、友人から口頭で「図書室って言ってたぜ。」と。
図書室に行ったら司書さんが「ハリーポッターって言ってたわ。」だって。
ハリーポッターの本片っ端から探せば、『飼育小屋。』
あー、もう、ふざけんなよ!!
アイツなにしてんだよ!!
イライラしながらそれでも駆ける。
本当は、ゴールがわかってた。
アイツの一番好きな場所だから。
飼育小屋から、ずっとずっと伝って。
家庭科室の黒板で、ゴールの文字を見つけた。
『お疲れ様。屋上にいます。』