∞君とラムネと∞
焼け跡の中、一人で自分を育ててくれた父は反物であろう何かを抱え込む形で亡くなっていたと言う。

怨みに恨み、高校生だったミノルは恨みだけを糧に生き
放火犯の出所を待ち侘びた。

そしてその男が出てきたと同時に
ミノルは男と同じ牢獄の中に入る事となる。
男は全治3ヶ月、骨折と打撲だと誰かが言っていた。

男はミノルを見て「かわいそうな事したなぁ。唯一無二の肉親死んでしもて。でも片親なんは俺のせいちゃうからな」と笑ったそうだ。
一度だけミノルが酔った勢いで呟いた事がある。


「殺したかったやろう、ほんまわ。」

まだ21歳だったミノルの
悲しい罪に、この街の皆が口を詰むんだ。
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