オレンジ 〔実話〕
愛しさが込み上げてきて、ただその勢いに任せて電話をかけた。
あたしも悠一の声が聞きたくて、好き過ぎて胸が締め付けられるんだ。
『さやか‥』
悠一はワンコールで電話に出た。
第一声にあたしの名前を呟くように呼んだ。
すごく寂しそうな、声のトーン。
「悠一‥ちゃんと電話かけたぞ!ワンコールで出るなんてすごいね」
あたしは、わざとおどけてみせた。いきなり、《どうしたの?》なんて聞いたらいけないと思った。
『電話‥ごめんな?さやか、ありがとう。俺さ、お前の声聞くと安心するんだ』
ハハッって少し照れ笑いしてるのが、電話でもわかる。
キュンときた。
期待してしまうような一言だ‥