あのこあいつあのひとに愛してるとあたし

「照れとるがー?」

にやっと笑ってきいてみた。

ゆうきはちょっと間をおいて、その後まっかになった。


「なんでそういうこと言うかなぁ…!
うあああぁあーもう!
恥ずかしいやん。」


口元を手で押さえ、こっちを見たゆうきに違和感を感じた。

始めは、顔が赤いせいかと思たけど、なんか違う…。

「………………あ!!
ゆうき前髪切った?
何か違うと思ったら…」



ゆうきは面食らった顔してちょっとうつむいて目をそらした。

また照れてる。
あたしはくすっと笑って、ゆうきの顔をのぞきこんだ。

「えーやん!かわいなってますて!うへへへ」




そしたら、ゆうきがぼそっと呟いた。
また顔が赤なっとる。

「シャッター…」


「……シャッター?」


「切りすぎた前髪~♪」


「aiko!?」


おなじみメロディーが、ゆうきの口から聞こえてきたことは不思議な感じだった。



「ん。
何か…
今のシチュエーションみたいやん」


「な、ゆうきもaiko好きなん?」

「うん、好き。Perfumeの次に。」

「うへへ。あたしもaiko好き!
 Perfumeはあんま知らんけど。
 aikoのCD、何もっとる?」

「夢の中のまっすぐな道だけある。」

「ほんなら夏服と暁のラブレターと彼女貸すわ!」


「……ありがと。」

ちょっと頬を染めて笑った、ゆうき。
いつもはうつむきがちで、ウブなゆうきがボソッとつぶやく一言は「ありがとう」だった。



「なぁ!こんど一緒にライブいこな!
 っても、次は3年やから受験おわってからになるかな。」


「うん、行こう」


ゆうきは、うっすらと笑った。
あたしたちは
教室につくまでaikoの話で盛り上がった。



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