あのこあいつあのひとに愛してるとあたし
あたしは机の上に英語の準備をしてから、ゆうきの座る席まで遊びに行った。

クラスメイトはみんなざわついてるのに、ゆうきは昨日と変わらず、机につっぷしとった。
そしてため息をつた。
机につっぷしてて、あたしが遊びに来たことに気付いてくれないから、あたしはゆうきの耳元で、できる限りの甘い声を使って囁いた。

「今晩のおかずはステーキよ」


「うわっ!びっくりした
 ちょお、何なんよ」

ゆうきは耳をパッパッとはらった。

「全然気付かんからいたずらしてみた!!」

「だって…いつも遊びに来てくれる人おらんから…」

ゆうきはボソボソと呟くように話す。
そんなゆうきが心配で、あたしはゆうきに問いかけた。

「淋しくないのん?」

「淋しいよ。」

「…そいじゃあ、なんで机につっぷしてん?友だちいっぱいいんのに」

「嫌われてるかもしれんやん。」

「嫌われてるなら、これから好きになってもらったらいいねんて!」

「そんなん無理や…」

「無理やない!
 あたしかて、ゆうきと話す前はゆうき怖かった。
 けど、話してみてわかったゆうきのイイトコ、いっぱいあんもん!」

ゆうきはあたしの熱弁を目を丸くして聞いていた。

「まずひとつめは、一生懸命なところ!
 ふたつめは、すんごい不器用なくせに頑張るところ!
 みっつめは、めっちゃ頑張り屋なところ!
 数学のテストかて、わからんなりにやっとったやんか!」

「あの、全体的に意味一緒なんですけd」
「とにかく!ゆうきのこと嫌いじゃないの!結構好きなの!」

ゆうきは、うつむきながら口元を手でおさえてウハハと笑った。


あたしは、はっと我に帰り、ちょっと恥ずかしくなった。


「ちょっとゆうき…それは照れてんの?笑ってんの?」

「両方!!うははは!」

こんな風に笑うゆうきを見たのははじめてだ。
そりゃ、昨日友だちになったし当たり前だけど…素直に嬉しかった。

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