あのこあいつあのひとに愛してるとあたし
訳のわからない授業によけいイライラする。
米川の授業は、塾に行ってないと到底わからないような授業や。
そのくせに塾を毛嫌いして、
「塾なんか行かずにやっていける奴が本物だ」
なんて言う。
あたしは米川のこういうところが大っ嫌いやっつの。


訳のわからない授業の黒板を写して、あたしはため息をついた。
それからゆうきに手紙をかいた。

“水スタ行くからね”

手紙は隣りの席の人から、米川に見つかることなくゆうきに回された。

手紙を開いたゆうきが、あたしの方を向いたから、あたしはゆうきにVサインをした。

ゆうきは二カッと笑うとあたしにVサインを返した。


顔があつくなるのを感じた。
あんな風に笑うなんて。ゆうきの笑顔が胸の端っこに刻まれていくことに戸惑いを覚えた。
ドキドキしてるのは、ゆうきが予想外のことをしたから。
ドキドキしてるのは、うつむくことなくあたしの方を見たゆうきが、新鮮やったから。


ただそれだけ
と自分に言い聞かせるあたしがおった。

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