あのこあいつあのひとに愛してるとあたし

「じゃ、小テストのわからんとこ教えたげる!」


「え、そんなん嫌や。
 ゆうアホやもん
 わからんもん。」


「あたしが天才やから大丈夫!
問題見してみ」


「イヤやて」


「できるようなりたいやろ?」


「いいって、ほんま。」


「あたしのことなら気にしたあかん。教えるのが趣味みたいなもんや」


「ゆうアホやし」


「これから天才なれるて!」


という会話を何度も繰り返した。
折れたゆうきは渋々問題をだした。


「どこがわからんのん?」

「わからん。もう全体的にわからん」


それ一番ヤバいパターンやん。
1からやるしかない。


「じゃあ問1から教える」


それからあたしは、英語の時間が終わるまでずっと数学を教えとった。
英語担当教師の米川は、それをニヤニヤ見とって、若干うざかった。
勉強するゆうきが珍しかったんやろな。



ゆうきの方は、ちょっと理解したみたいやけど、頭をフルに使ったみたいで顔が真っ赤やった。

あたしにとっての5%のパワーが、ゆうきにとっては100%なんやってことがわかった。

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