テディベアはしゃべらない
…‥・‥…・…‥・‥…



登校した時、「おはよう」とあいさつをして笑顔が返ってくると、安心します。

それは、日頃から私の笑顔がみんなの中へ浸透している、証明だと感じるからです。

ああ、なんて満たされる瞬間なんでしょう。

私はことさらに嬉しくて、なおさら笑顔を作るのです。

その肩に、突然、なにかが乗せられました。

驚いて振り向くと、柔らかい栗毛の彼がそこに。

「おはよう、高村さん」

と、彼は昨日のように、とても『できた』風な笑みで話しかけてきました。

アナタが笑顔なら私もそう。

「おはよう」

と笑顔で向き合いました。

途端、なにかを憐れむように、彼は俯くんです。

どうしてでしょう?

どうして彼は笑顔を曇らせるんでしょう?

勝手に、持ち上げていた頬が下がるのを、自分でも感じました。

彼の、その目は、その顔は、まるで……

そうまるで――

「まさか、アナタも……?」
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