テディベアはしゃべらない
やって来た部室長屋、扉を開くとそこにはテディベア達が待っていました。

昨日と同じ部屋、昨日と同じ、圧倒されるほどたくさんのテディベア達。

ただ違うのは、昨日は訪問者の私を見ていたように思えた彼らが、今日は部屋の中央に注目している気がすること。

そして、

「ああ、来たな。高村まひる。おはよう」

部室には、カラスな彼――壮馬くんが、いました。

テーブルの上に、

「どうした」

昨日の箱を、

「高村まひる?」

こちらによく見えるように、

「おはよう、と俺は言ったんだぞ」

大きく開けて。

私の横で、森山くんが固まっていました。

いえ、森山くんだけじゃなく私も、固まっていました。

だって、その木箱の中では黒いテディベアが宙吊りになっていたんです。

蜘蛛の巣にかかってしまったみたいにがんじがらめで、手足を無理な方向へねじられて。

箱の中で、浮いていました。

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