テディベアはしゃべらない
たしかにあのテディベアは笑ってました。

笑ってました、けれど、あれは仮面だったんです。本心から楽しいわけ、ないんです……!

もしかしたら今、箱の中の闇では泣いているかもしれない、それなのに……!

「……なんで、お前が泣くんだ」

「え……」

気付けば、私は涙を流していました。

きっとさっき叫んだ、その時から。

けれど、なぜ泣いたか……それは……

「アナタが……アナタがその子の仮面の下を、わかってあげなかったから……!」

「――違うな」

「っ、え……?」

と再び彼は鼻で笑い、ふたを開けました。

そこには、笑顔の仮面をしたテディベア。

彼が言います。

私へ歩み寄りながら。

「お前は、俺がコイツをわかってやらなかったから泣いたんじゃ、ないだろう」

「……?」

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