テディベアはしゃべらない
…‥・‥…・…‥・‥…



お昼休み、みんなでお弁当を食べている時でした。

「え、私、それは苦手だなあ」

と一言口にした途端、みんなの表情が固まりました。

机をくっつけ合っているので、みんなのポカンとした顔がよくわかります。

「ど、どうかした?」

「い、いや~別にどうもしないけどさ」

と、みんながぼそぼそ答えます。

「まひるがまさか、そんなしかめ面するなんて思わなくって」

「うんー、まさかの表情を見た感じ?」

「そうそう。まひるっていつも笑ってるイメージだからさ」

そうして頷き合ったところへ、

「うん、でも」

付け加えられました。

「ただ笑ってるだけより、そんな顔してくれたほうが、いいよね」

「うんうん。なんかまひるの新しい一面見っけっていうか」

「今まで半分なに考えてるか、わかんなかったからね~」

「あはは、笑顔のポーカーフェイスってね~」

そこまで言われて、私も「ひどーい!」と反論しました。

はい。眉根を寄せて。

「あはは」と笑いながら謝ってくれる友達。

それを同じように笑いながら許す自分。

なんとなくそういえば、こういう風に笑ったのはとてもひさしぶりなのでした。
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