ざわめきのワルツ
さむ、と一緒の駅で降りた女子高生が呟いた。

全くだ、と思う。

電車の中は温かく…暑く、と言った方が正しいかもしれないけど、ともかくいきなり外に吐き出されると、余計に寒さを際立たせた。

彼女の短いスカートから伸びる足は白く、少し乾燥している。

私も二年前まではあんな感じだったのか…今では寒さに負け、ミニスカートなどはかなくなってしまった。

はたちの女の子の言うことかしら、と可南子(かなこ)さんには笑われそうだけど。


可南子さんの経営するバーまでは、一人暮らしのマンションから五分ほどの距離だ。

今はそこで、バーテンダーのアルバイトをしている。

バーテンダーといっても、注文されたお酒を黙々と作るだけ。

シェーカーを振る華やかなイメージとは少し違う、しかしなかなか面白い仕事だ。
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