【短編】運命の人
彼は少し困っていたけれど。
“お願いします!”と、何度も言うあたしに根負けしてしまったのか。
「それじゃあ、お言葉に甘えて」
また、爽やかな笑顔で受け入れてくれた。
「えーっと、俺、出勤途中だから、また日を改めて……ってことでいいかな?」
「あっ、もちろん。あたしもこれから大学に行くんで、そちらに合わせます!」
「じゃあ、連絡先を交換した方がいいね。携帯、持ってる?」
後日、日を改めて、と言うことになり、携帯の赤外線で連絡先を交換する。
「岡本……直樹……」