【短編】運命の人
「すごいなぁ……。こんな偶然って……」
「うん、すごい。ビックリしたよ」
しばらくして、あたしたちはようやく口を開き、顔を見合わせて笑った。
「て言うかさ、奈津ちゃんも言えばいいのに。“今日誕生日なんだー”って」
「えー? そんなのイヤだよー」
「俺、プレゼント用意できなかったし」
「それはあたしも同じだよ。直樹さんこそ、言ってくれたらいいのに」
笑い合いながら、軽くお互いを責め合う。
そして、直樹さんが、思いがけないプレゼントの提案をしてくれた。
「プレゼントの代わりって言ったらアレだけど……、今日から『彼氏』『彼女』として付き合わないか?」