【短編】運命の人
“絶対、疫病神だったんだよ!”
朝の満員電車のなかで、あたしは沙織の言葉を思い出していた。
二年付き合った彼氏・晃司と別れたのはニヶ月前。
彼女はあたしだけかと思っていたのに。
晃司には、不特定多数の“彼女”がいた。
未練?
そんなもん、あるわけがない。
二年という長い期間。
イベントごとに贈った、バカ高いプレゼント。
あたしがあんたのために使った時間と金を返せ、と言ってやりたい。
……まぁ、晃司の女グセの悪さに気づかなかったあたしが一番悪いんだけどさ。
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