嫌いなアイツの10の命令
「あのー…千鶴?大丈夫?顔怖いけど」
ハッと我に返って声のした方を見ると、百合が遠い目であたしを見ていた。
「だっ…大丈夫!ホラ、部室行こ!」
あたしは百合の腕を引っ張って音楽室に向かった。
ひんやりとした音楽室の空気の中で、あたしはマウスピースを取り出した。
指ならしをして、久しぶりにトランペットに息を注ぐ。
それに合わせるように、百合はホルンを吹き始めた。
ふたつの音が重なって、
すごく心地良い時間。
あたしと百合は顔を見合わせて、目で笑い合った。
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