南京錠
その日は、まぁくんに迎えに来てもらって、帰る事にした。





「まぁくんと二人きり久々だね。」



私はまぁくんの手を握った。



「この所お互い忙しいもんな。体の調子悪いのか?」


「ちょっと貧血で倒れただけ。」



私はピースをして笑ってみせた。



「来月から、またハードになるんだから無理はするなょ。」



そう言ってまぁくんは溜め息をつく。


手もさりげなく離された。







特に話す事もなく、私を乗せた車はドンドン寮に近くなっていく。



何か寂しい気持になって、目の前の景色が歪む。



私は、目から涙が落ちない様に上を向いた。




ぁっ…






プリクラ。



私と二人きりで撮った写真をハメテといたミラーのその場所に、プリクラが貼ってあった。






“SAYAKAandまぁぁ”





ハートマーク一杯のプリクラ。仲良さそうな二人が並んでる。



SAYAKAって、同じ事務所のモデルさんだ…




その時私の頬に、滴が流れ堕ちた。





「ほらっ着いたぞ。寮に電話しといたから何かお粥でも作っても…ってどうした!?」
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