南京錠
「きゃぁぁぁぁ!!」








朝から教室の人だかりから叫び声が聞こえた。私と誠と蓮は、いつもと違う異様な光景にボーゼンとしている。




一瞬の沈黙の後、誠が、興味本位で、人だかりに向かう。



「何だろぉ〜♪」







周囲はザワメキ始めた。




救急車呼べよ…


先生…―



慌てる声も聞こえた。



「なんだろ?」



「さぁ〜…」



蓮はあまり興味無さそうだ。蓮はいつもそう。人にはあんまり興味が無いと言った感じ。






「きゃぁぁぁ!!」


その時また叫び声が聞こえる。



誠がどうやら、教室の中に入ったらしい。



私と蓮は誠の後に続いた。





……





「那奈来るな!」



いきなり蓮が私の顔を覆い被さるように抱き締めた。



「ぇっ…くっるしぃ…」




私は蓮の腕から顔を出した。



「いやっ……」







私は声を失ってしまった―――



< 17 / 31 >

この作品をシェア

pagetop