南京錠
「誠…?開けるよ?」




私はコンコンと部屋をノックしたけど、返事がなかったので、ドアをゆっくり開けた。




「誠…?大丈夫…?」




部屋は閉めきっていたのか、少し湿った空気が流れた







誠はカーテン越しにベッドにもたれ掛かっていた。





「なな…」




力無く誠が答えた。





その顔を見ると大丈夫なんてもうとても言えない。






私はギュッと誠を抱きしめた。





「ぅ…っ…」






誠は静かに泣いていた。





私は抱きしめる事しか出来ない。





んっ…?






床に目をやると誠の携帯が悲しく光っていた―
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