南京錠
「お疲れ様でしたぁ〜」



「おつかれっす!」





「那奈?那奈?」



蓮の声が聞こえて、我に帰る。



「蓮…」



「おつかれ。大丈夫か?」


「うん。」



私は深く深呼吸した。



「お〜那奈ちゃん、蓮くん今回のPVもいい仕上がりになりそうだ!お疲れさんっ!那奈ちゃんはカメラが回ると相変わらず、別人みたいだなぁ〜ハハハハっ!」



豪快に笑いながら、監督さんが蓮の肩をバシバシ叩きながら去って行った。



私達は軽く会釈して、スタジオを後にした。



「おっ!二人とも居た!」


「げっ…佐古田っ…」



蓮の顔が引きつる。



「あっ!まぁくんっ!」


私の顔はぱぁっと明るくなりまぁの胸に飛び込む。



佐古田と呼ばれるこの男は、まぁくん。
私の彼氏だ。



「コラコラ…」



まぁくんが少し困った顔をした。


そして私を引き離して喋り出す。


「来月から夏休みに入るだろ?その間、海外ロケでしばらく帰って来れないから、明日からは学校行けるぞ〜」





げっ…学校…



< 9 / 31 >

この作品をシェア

pagetop