片想いはイヤ!
そこにかずちゃんも
駆けて来てくれた。
その時だった。
1人の男の子が
指を指して言ったんだ。
『アイツのところ、
お父さんいないんだぜ。』
突き刺さった。
奥深くに。
グサッと・・・。
涙が止まらなかった。
手で覆っても
覆いきれないぐらいの涙が
溢れ出た。
でも、かずちゃんが
あたしのところに来て
ギュッってしてくれた。
耳元で
『俺がいるから』って
言ってくれた。
また涙が溢れた。
小さく頷くあたし。
そして、かずちゃんは
大きな声で言ったんだ。
『俺が琴を守るよ』って。
再び思い出し、
思わず、肘を机につきながら
うっとりと話す琴乃。
頭の中では
『俺が琴を守るよ』の言葉が
木霊していた。
よだれまで垂らしている様子に
2人は呆れるしか出来なかった。