お嬢様重奏曲!R
涙目で困り果てた葵を見て、怪訝に思った御言はモニターを覗き込む。そこでようやく御言は葵の表情の意味を知った。
「これは盲点だったね」
日付がいつの間にか代わっていたのだ。
しかし御言はここでも焦る事無く、三度目になる行動に出た。
「少し失礼するよ」
ポケットから取り出したのは、家から持ち出したフラッシュメモリだった。それをUSBドライブに接続させる。そして高速でキーを弾いていくと、返却日が以前のものとなったのだ。
「これは一体」
「なに。万が一のためのコンピュータウィルスだよ。さて後は帰るだけだね」
「あ、はい」
今もまだ呆然としている葵を引き連れ、御言は学園を後にした。
「さて。これで全ての状況はクリアされた。後は帰るだけだね。難だったら近くまで送るがいかがかね? 天童君」
「あ、はい。ありがとうございます。何から何まで」
葵は深々と頭を下げて感謝した。
「後、その…私の事は葵で良いです。御影さんがよろしければ…ですが」
「なるほど。分かった。では、俺も御言で構わない」
「え? 良いんですか」
「気にする事は無い。等価交換と言うやつだ」
そこまで言って御言は考える。
「そうなると、君の秘密である趣味を知ったわけだから、俺の秘密を明かさねばならないな」
真剣に悩んでいる御言を見て葵は驚き、首を横に振った。
「そ、そんな! 私だったら平気ですから」
「いや。これは俺の問題だ。時期を見ていずれ話そう。なに。絶対隠さなくてはいけないものではないしね」
そう御言は、いや御影家は魔法使いの一族なのだ。だからと言って隠し続ける必要もない。なにせ現宗主は、クラスメートにばらしていたのだから。
「ここまでで大丈夫です。ありがとうございました」
葵の家の近くまで来ると、葵は再び頭を下げた。
「ふむ。そうか。ではまた明日。葵君」
御言は振り返る事なく帰路へと向かっていく。
「…はい。また明日です。御言さん」
御言の背中にそっと囁き、火照った頬を両手で冷やしながら、葵も帰路に着いたのだった。
「これは盲点だったね」
日付がいつの間にか代わっていたのだ。
しかし御言はここでも焦る事無く、三度目になる行動に出た。
「少し失礼するよ」
ポケットから取り出したのは、家から持ち出したフラッシュメモリだった。それをUSBドライブに接続させる。そして高速でキーを弾いていくと、返却日が以前のものとなったのだ。
「これは一体」
「なに。万が一のためのコンピュータウィルスだよ。さて後は帰るだけだね」
「あ、はい」
今もまだ呆然としている葵を引き連れ、御言は学園を後にした。
「さて。これで全ての状況はクリアされた。後は帰るだけだね。難だったら近くまで送るがいかがかね? 天童君」
「あ、はい。ありがとうございます。何から何まで」
葵は深々と頭を下げて感謝した。
「後、その…私の事は葵で良いです。御影さんがよろしければ…ですが」
「なるほど。分かった。では、俺も御言で構わない」
「え? 良いんですか」
「気にする事は無い。等価交換と言うやつだ」
そこまで言って御言は考える。
「そうなると、君の秘密である趣味を知ったわけだから、俺の秘密を明かさねばならないな」
真剣に悩んでいる御言を見て葵は驚き、首を横に振った。
「そ、そんな! 私だったら平気ですから」
「いや。これは俺の問題だ。時期を見ていずれ話そう。なに。絶対隠さなくてはいけないものではないしね」
そう御言は、いや御影家は魔法使いの一族なのだ。だからと言って隠し続ける必要もない。なにせ現宗主は、クラスメートにばらしていたのだから。
「ここまでで大丈夫です。ありがとうございました」
葵の家の近くまで来ると、葵は再び頭を下げた。
「ふむ。そうか。ではまた明日。葵君」
御言は振り返る事なく帰路へと向かっていく。
「…はい。また明日です。御言さん」
御言の背中にそっと囁き、火照った頬を両手で冷やしながら、葵も帰路に着いたのだった。