お嬢様重奏曲!R
葵は何かを見つめたまま、その場に立ち尽くしていた。そして教室内がなぜか静まり返る。御言は「…ふむ」と一人頷き葵の前まで歩き、一度メガネの位置を直し葵に問い掛けた。
「騒がしくなって済まなかったな。以後、気をつけよう」
「え? あ、いえ。そんな事無いです。私こそごめんなさい」
御言の言葉に葵は我に帰り、首を振る。しかし先ほどまで葵が向けていた視線の先が、フリーダムハーツに向けられていた事を御言は気付いていた。
「何言ってるんですか! こんな変人に天童さんが謝る必要なんかありませんよ!」
「そうですよ。ってかそれ以上、近寄らないでよね! 天童さんが汚れてしまうでしょ!」
葵と御言の間を数人の女子生徒が、割って入ったて入ってきた。
「それは随分失礼な言い草だね。君達とは少し話し合う必要があるようだね?」
「あんたなんかと話す事なんか無いわよ!」
「さあ。こっちで話しましょう? 天童さん」
「え? あの…」
葵は半ば強引に腕を引っ張られ、御言とは反対側に連れ去られてしまった。
「全く失礼極まりないものだね」
葵がいなくなったのを確認すると、豊の元へと戻って行く。
「残念だったね?」
「何がかね?」
戻ってきた御言に豊は、意味ありげな笑みを浮かべていた。
「せっかくかの天童葵さんと、お近づきになれるチャンスだったのにね」
「何か勘違いをしてないかね? 俺にはそんな気は無い」
「そうだよね? さすがにあの神楽財閥と並ぶ天童財閥の令嬢は、僕らにとっても高嶺の花だからね。でももし狙ってるんなら僕は応援するよ。多分、渉や卓も応援してくれるよ」
「どうだろうな? 卓はまだしも渉はどうだろうな」
金の亡者である渉は「逆玉か!」と騒ぎ立てるだろう。卓は親身になって応援してくれるだろう。
「どのみち俺には関係無いがな」
御言は興味なさそうにメガネの位置を直し、フリーダムハーツを見た。
「おっ。興味を持ってくれたかな?」
「全く無いな」
その差は僅か一秒も無かった。ギネス記録更新である。
「あ、そうだ。御言。一個頼まれてくれない?」
「ん? 何かね」
豊の頼みに御言は表情を初めて歪ませたのだった。
「騒がしくなって済まなかったな。以後、気をつけよう」
「え? あ、いえ。そんな事無いです。私こそごめんなさい」
御言の言葉に葵は我に帰り、首を振る。しかし先ほどまで葵が向けていた視線の先が、フリーダムハーツに向けられていた事を御言は気付いていた。
「何言ってるんですか! こんな変人に天童さんが謝る必要なんかありませんよ!」
「そうですよ。ってかそれ以上、近寄らないでよね! 天童さんが汚れてしまうでしょ!」
葵と御言の間を数人の女子生徒が、割って入ったて入ってきた。
「それは随分失礼な言い草だね。君達とは少し話し合う必要があるようだね?」
「あんたなんかと話す事なんか無いわよ!」
「さあ。こっちで話しましょう? 天童さん」
「え? あの…」
葵は半ば強引に腕を引っ張られ、御言とは反対側に連れ去られてしまった。
「全く失礼極まりないものだね」
葵がいなくなったのを確認すると、豊の元へと戻って行く。
「残念だったね?」
「何がかね?」
戻ってきた御言に豊は、意味ありげな笑みを浮かべていた。
「せっかくかの天童葵さんと、お近づきになれるチャンスだったのにね」
「何か勘違いをしてないかね? 俺にはそんな気は無い」
「そうだよね? さすがにあの神楽財閥と並ぶ天童財閥の令嬢は、僕らにとっても高嶺の花だからね。でももし狙ってるんなら僕は応援するよ。多分、渉や卓も応援してくれるよ」
「どうだろうな? 卓はまだしも渉はどうだろうな」
金の亡者である渉は「逆玉か!」と騒ぎ立てるだろう。卓は親身になって応援してくれるだろう。
「どのみち俺には関係無いがな」
御言は興味なさそうにメガネの位置を直し、フリーダムハーツを見た。
「おっ。興味を持ってくれたかな?」
「全く無いな」
その差は僅か一秒も無かった。ギネス記録更新である。
「あ、そうだ。御言。一個頼まれてくれない?」
「ん? 何かね」
豊の頼みに御言は表情を初めて歪ませたのだった。