狼と兎
その声と共にお尻の違和感が消えた。


振り返ると茶髪のチャラチャラしてそうな男子高校生が、これまた茶髪のお兄さんに手を掴まれていた。


あたしはよく分かんなかった。


「今、触られてたよね!?」

お兄さんに聞かれる。

「…はい……」

タイミング良く、電車は次の駅に着いた。

「一回降りろよ。」
お兄さんは男子高校生にそう言った後、

「君も降りて。」

と、あたしに言った。


あたしは言われるがまま、電車から降りた。

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