ディーダラス2064

「WSCは今度の計画に軍のメンバーを数名加えることを認めた。そのことでWSCはある程度独自の情報を軍に提供するでしょう
あたしの役目は終わった」

「それで…」

「最初、あなたに近づいた理由はそれだった。
けどあなたとの少しの時間はあなたと同じ感情によるものだった
それだけは分かってほしいのよ…」


「今更、何を言ってるんだか」

カオルは気が動転しそうになったその状況を必死に抑え込んでいた

「来いよ」

荒々しくミディの手を引っ張って
自分のビーグルに押し込んで自分もその横に座り
ぎゅうぎゅう詰めの車体を荒々しく発進させた


一夜限りの恋だった
少なくともカオルにとっては…

もはや冷め切ったミディの表情に精彩は無かった。

ただビーグルを飛ばしていた。

カオルは大きな雄たけびを上げて
同乗者のミディを必死に威嚇していた

そのあげく対向車線に出て
向かってくる車両にわざと接近した
悲鳴を挙げたミディの声は快感に感じられた

この時間帯車両は少ない
でも、こんな荒っぽいやり方でしか
カオルには自分を表現する方法は他に無かった。