ディーダラス2064
アーネスト リーってヒーリング音楽って
聴いたことあるかい

ジョングレンはひとなっつこくカオルに訪ねてきた

「いいえ…」

「宇宙ではじめて作曲をした人だ…
俺はその曲を聴くたびに、宇宙と一体になっている気がして幸福なんだ」

「そうですか…」


カオルはあっけにとられた
ジョングレンの話し方は未知なるものでも
ジョングレンは無邪気に世界を見ている
精悍なジョングレンの顔立ちも
宇宙ミッションスペシャリストとしては頼もしいが
カオルにとってジョングレンは
まるで無邪気な幼稚園児でもあるかのような
宇宙に無条件で触れていたいだけの
無邪気な子供、赤ん坊のように直接的にそんなものを感じた

「あなたとは身近にいても、
こうしてゆっくり話をしたことがなかったですね
どうです…?
今回のミッションについてどう思われます?」

「宇宙博物館って噂があるよ」

「えっ…?」

「永い距離宇宙を旅してきたものが
太陽系を横切ろうとしてる
ただそれだけ」

「彼らにそれ以外に目的があるとしたら
いろんな宇宙の有様を記録しているくらいだろう
別に邪念もなく、ただ、彼らは旅をしているだけだろう」
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