ディーダラス2064
宇宙建造体がその進行を止め、火星の軌道に加速すらせずに乗ったことはディーダラスの意外な驚きを誘った
メンバーのガントは立場がなかったし
何より、ミッションの安易に運ぶことを意味していた

速度を止め
そこに静かに居座るというのは
相手側にコンタクトの意図が感じられることを意味していた。

ディーダラスもまた火星の軌道に乗り
四つの衛星と 軌道上の建造物を持つ火星は
今一度太陽系 じゅうの注目を集める対象となっていた


長期化された宇宙開発の結果
火星は中途半端に放置された
少なくとも人類からはそういう扱いを受けていた
ただ
いまここにきて
火星は生態系にとって生命圏と呼べる状態と化していた

そういうことができる知的種族
そういった存在とはいったいどういうものなのか


ただかれらの行為に罪は感じられなかった
不毛で乾ききった惑星を生命に満ちた場所に変える行為に
悪意など感じる者はいない
それゆえに 地球人類は
驚愕と彼らへの敬意の念を抱かずにはいられなかった
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