ディーダラス2064
カオルは日本人の母と、スコットランド人の父との間で
2027年アメリカ西海岸のある海辺の町で誕生した。
そこは以前は違う名称で呼ばれていたが現在 ゲイト オブ ゾーン という名称で呼ばれていた。
その呼び名の由来はもともと宇宙飛行士を養成する土壌が幼稚園保育園の時点で開始され様々な宇宙エキスパートを誕生させるためのカリキュラムが組まれた教育機関がアメリカ中のどの都市よりダントツに多く、州の行政機関もその方面に力を入れていた。


カオルの育ったその街は、オレンジ栽培が有名で、フットボールチームが全米規模で強く有名な街だった。

カオルの父は、カオルがまだ二歳の誕生日を迎える直前に、その親子の前から姿をくらました
病弱だった母はそんな父の悪口を一言もカオルに告げなかった。
カオルは幼い頃画廊で偶然見かけたジェフリーボーンスティルの描いた宇宙絵画に魅せられ自分の進むべき道は宇宙しかないと悟った。

当然、彼の夢を支持する大人たちにも彼は恵まれていたし、カオル自身自分の故郷は宇宙にあって、この肉体を通じてたまたま重力井戸の底で生活するより広い世界をその身をもって体験しようといった野心をずっと持ち続けていた。

母から聞かされる父の話は前衛物理学者で研究に従事して国の中では高い地位を得ていたというものだった

カオルにとってそんな父は理解しがたいものだった
黒板や液晶の上で数字を並び立てていたらしかった父の姿を想像しても何一つ尊敬できるものではなかった

カオルは自分の手で宇宙の真空の感触など感じて居たいと思う種類の少年だったし
それを実現させるためには多少のリスクなどは自分にとっては何の支障もないものと覚悟していた。
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