ディーダラス2064
ヴィークルは西海岸の早朝のハイウェイを飛ばしていた

一人乗りの改造ヴィークルにぎゅうぎゅう詰めのふたり

それで充分だった

他に必要なものは何一つ無かった

お互いの素性なんて
どんな危険な人物なのか

お互いからすればそんな可能性もあった

でも恋愛とは
そんなものは感情の前に帳消しになってしまう

外見の優れたアイドル的な異性に魅かれるわけじゃない
ただ、そこに居るそのものが例えようもなく大切な存在に思えてくる

理由なんてあるわけじゃない



だから素晴らしい

駆け引きなんてくそ食らえだ


その日は、ミディの安アパートに押しかけて
思いのたけをたっぷり堪能した

スクランブルエッグとトーストの朝食は
あまりいい調理とはいえなかった

でも最高な味だった。




でも最高の罪悪感を憶えたのは
その日の夕刻別れるときだった

カオルは自分の素性なんていえる分けなかった
WSCの組織から宇宙クルーに携わるべきものは
闇雲に自分の素性を誰彼に言ったりしないこと

私生活に関してプライバシーに厳重に気を配ること

そういった規定が厳しいくらい義務図けられていた。
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