-恐怖夜話-
背筋にゾクリと悪寒が走る。
『逢魔が時』と言うやつだ。
「早く行かないと、遅くなるよ!」
「ふぁーい」
だんだん迫力と音量を増してくる母の声に気のない返事をしつつ、仕方なしにノロノロと動き出す。
『このまま、サボっちゃおう』と言う私の目論見は、木っ端微塵に吹き飛んでしまった。
あーあ。
何だか、気が進まないなぁ。
もう少し、降ってればいいのに、雨。
決して、犬の散歩が嫌だとかではない。
上手く説明はできないが、この時は、『無性に行きたくなかった』のだ。