-恐怖夜話-

黒い黒い山陰。


そのすぐ上に輝く、妙に大きな青白い一番星。


それが、すうっと、下に落ちたのだ。


それも、山の向こうにじゃない。


こっち側。


私の、いる方に!


な、なに!?


何で星が落ちるの!?


星は、


いや、私が星だと思った何かは、『ヒュー』とSの字に青白い『尾』を引きながら、どんどん下に落ちていく。


それはまるで特大の蛍を見ているよう――。

< 143 / 358 >

この作品をシェア

pagetop