-恐怖夜話-
仕事から帰った夫にその事を話したら、
「ふ~ん。幽霊が念写でもしたんじゃない?」
と、からかわれた。
「だってほら、その話だと何だか幽霊目線の映像みたいじゃん?」
うっ、と思わず夫のセリフに言葉が詰まる。
確かに言われてみれば、あの空中をふわふわただようようなカメラアングルは、『幽霊のもの』のような気がする。
一瞬、脳裏に鮮やかに甦る『あの映像』。
あの映像に人影はなかった。
けど、もしもあのまま部屋の中に入ってきていたら、
そこに、私と娘の姿は、映っていたのだろうか?
ゾクリ――。
背筋に冷たい何かが、走り抜けた。