-恐怖夜話-
「ねぇ、武(たけ)ちゃん。キャンプ場まで、後どれくらいかかるの?」
キャンピングカーの助手席で心地よい振動に包まれながら、私は、運転席でハンドルを握る夫の武士(たけし)に声をかけた。
キャンピングカーは、勿論、レンタカー。
共働きではあるけど、ごく普通のサラリーマン家庭の我が家には、ちょっと贅沢品の部類に入る。
もっとも。
なかなか会社の休みが合わないから、もしも自前で持っていたとしても、『宝の持ち腐れ』になるのは必至だ。