-恐怖夜話-
「な、何よいきなり」
結婚しているのに今更照れるのも我ながら何だと思うけど、こういうのはちょっと久々で、ドキドキしてしまう。
悔しいことに武士は、そんな私の反応が面白くて仕方がないと言う風に、少し意地悪なニヤニヤ笑いを顔に貼り付けている。
そうそう。
昔から、この人はこういうヤツだったのだ。
自分の放った言葉に、私がどぎまぎするのを見て喜んでいる。
いつか逆襲してやるんだから。
心に固く決意をする。
「うん、そうだな、最初はやっぱり女がいいな。次は男で、次は……」
勝手に指折り数えて家族計画を決定している武士に、私は「一体何人作るつもりなの?」と呆れた声を上げた。