-恐怖夜話-
結局。
あの部屋で過去に何があったのか、真相は分からなかった。
ただ、あの302号室の住人には、病人やけが人がかなり多いと言うことだった。
部屋に何かあるのか、それとは別に原因があるのか。
誰も、知るものはいない。
建築関係の仕事をしている父は、意外とそう言う『げんかつぎ』を重用視する人間だったため、 私達一家は、あの後すぐに空いた別の部屋に移った。
私の霊感も一過性のものだったのか、あれ以来、怖い思いをする事はなくなっている。
築四十年。
長い時の流れの中で、様々な思いが染みついた建物。
そこには、何か人ならざるモノが棲み付いているのかも知れない――。
―了―