-恐怖夜話-
かごめかごめ
かごのなかのとりは
いついつでやる
よあけのばんに
つるとかめがすべった
うしろのしょうめん だあれ
歌だ。
果てのない、まるで底なし沼のような混沌とした暗闇の中で、
楽しげな子供達の歌声が、どこからともなく聞こえてくる。
――かごめ、かごめ、
かごのなぁかの、とぉりぃは。
低く高く響く、聞き覚えのある懐かしい旋律に、私は記憶の細い糸を辿った。
ああ、『かごめかごめ』の歌だ。
よく子供の頃、友達と一緒に神社で遊んだっけ。
同じ年で一番の親友の、新庄沙希(しんじょうさき)。
幼稚園から大学までずっと一緒で、大人になった今も同じ職場に勤めるほど仲が良い。
まるで姉妹のような、沙希。
そして、沙希の妹で六歳下の早苗ちゃんと、神社の宮司の孫息子で、私より二つ上の東悟(とうご)。
この四人で、放課後はいつも暗くなるまで遊んでいた。
――よあけのばんに。
――つるとかめがすぅべった。
そう言えば、この歌って、どんな意味があるんだろう?