-恐怖夜話-
意味もなく、声がうわずった。
本文に書かれている『かごめかご』という文字。
意味不明だ。
もしかして、『かごめかごめ』と書きたかったんだろうか?
どちらにしても意味が分からないのは同じだけれど。
それに、私が見た夢との奇妙な符合。
偶然だろうか?
「どうした? 沙希ちゃん何だって?」
黙りこくってしまった私の態度を不思議に思ったのか、東悟が声を掛けてきた。
「うん、何だか途中で送信しちゃったみたいで、意味不明なの」
「なんだそれ? 沙希ちゃんにしては珍しいな。香織ならそう言うのやりそうだけど」
含み笑う東悟を一睨みして「どうせ私はおっちょこちょいですよーだ!」と舌を出す。
それにしても、冷静沈着を絵に描いたような沙希には珍しいドジだ。
何だかスッキリしない。
電話してみようか?
そう思わないでもなかった。
でもどうせあと数時間すれば、会えるのだ。
実家に帰れば沙希の家はすぐ目と鼻の先。ご近所さんなのだから『着いてから直接聞けばいいや』そう思ってそのままにしてしまった。