-恐怖夜話-

「え!? 今、なんて言ったの、お母さん!?」


家の玄関でいきなり聞かされた母の話しに、私は頭の中が真っ白になった。


信じられない。


「一昨日帰って来るなり、自分の部屋に荷物を置いて、ふらりと出て行ったっきり戻らないそうなのよ。警察には捜索願いを出したらしいんだけど、まだ見付からないって……」


沙希の事だ。


沙希が、一昨日から行方不明だと言うのだ。


「そんな、ばかな……。だって私今日、沙希からメールを貰ったよ?」


私はジーパンの後ろポケットに突っ込んであった携帯電話を取り出し、震える指先でメールボックスを開いた。


が――。


「え!? な……んで? 確かにメールが、来たのに……」


私は信じられない思いで、メールの着信記録を探した。


端から端まで隈無くスクロールして何度も確認する。


でも、見付からない。


確かに来ていたはずの沙希からのメールが無かった。

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