-恐怖夜話-

「ほんと、もう気にならないわね。


どう、弘恵、これにしちゃったら?」


「う……ん。そうだね」


乗り気な母の言葉に曖昧に頷いたけど、正直言って、私は気が進まない。


特に理由があるわけじゃない。


ただ『何となく』気が進まないのだ。


それに、安すぎる値段も、なんだか怪しい。


「あの……。何でこの冷蔵庫だけ、こんなに安いんですか?」


私は、心に引っかかっていたことを、店員さんに素直に質問してみた。


もしかしたら、何か欠陥があるのかも?


いくら安くても、すぐに壊れてしまったら、高い買い物に化けてしまう。

 

< 32 / 358 >

この作品をシェア

pagetop